化物語のアニメを全部見終わりました。ネタバレばんばんしながら感想をいうので、以下読まれるかたはご注意ください。なんか語っている風に見せかけて、オタクらしく脈略なく書き連ねています。
最終回の演出に泣けた・・・・・・私は原作中毒なので、「ふむふむ、よしよし原作と同じだな」「あっ、あの台詞抜けた!!あれ大事だろ!(「茶化し」として)」なんて脳内突っ込みをしながら見ているのですが、最終回のアレは小説という表現方法では少し限界がある部分を可視化してくれたなぁと感じました。それだけにより一層切なくて。
状況の順番としては、春休みに羽川が阿良々木くんを好きになっていた。阿良々木くんは友達がすくないし、周囲に壁を作っているので静かな片思いでいられる、と思っていたことでしょう。だけど、5月初め、戦場ヶ原が現われてしまった。ここのミソは戦場ヶ原と羽川はどちらも阿良々木くんに「怪異」から助けられた女の子ということ。そして、決定的に違うのは、意思表示の大きさとその速さ。「電光石火」のごとく、戦場ヶ原は数日で阿良々木くんに告白し、羽川の前から彼をかっさらった。羽川の思いたるや。
「するがモンキー」で、戦場ヶ原に恋する女子、神原駿河が登場します。同性愛ということで目くらましされがちですが、彼女が阿良々木に説明した内容が羽川の心境を慮るのに重要なキーになるでしょう。
彼女いわく、「戦場ヶ原先輩が、朝の教室で阿良々木と話していた」のを目撃して、嫉妬に狂った。
学年が違う、さらに「戦場ヶ原と距離をおいていた」はずの神原がそれを目撃しているのです。同じクラスであるはずの羽川はそれを都合よく見ていなかったなんてことがありえるでしょうか。また、「つばさキャット」の冒頭シーンの羽川の台詞から、教師にまでこの二人が仲良くなっていると知られていることがわかります。
それほどに近づいていた二人を羽川は見ていたし、というかそもそも「何も知らない」阿良々木から戦場ヶ原関連で何度も相談を受けているのです。
本当は、自分も好きなのに。だけど、笑顔で。
そのせつなさ、つらさ、ストレスはどれほどのものだったのだろうと思うと胸が痛くなる。
でも、阿良々木がブラック羽川に言ったとおり、結局はその不満を自分で言えない、自分で発散できないことが羽川の弱さ、だったんですよね。
羽川の恋敵が戦場ヶ原ひたぎだったのは不幸だったと思います。彼女はまさしく「電光石火」の女でした。ただ、単純なスピードだけの話ではありません。「ツンデレ」といいつつ、伝えるべきことははっきりと伝える人間。嫌いなものは嫌い。そして、好きなものは好きだ、と。これが彼女の持つ、そして阿良々木と羽川にはない強さであるのです。
切ないけれど、これが現実。 人間、そんな気持ちの慮りだけでは分かり合えないから、言語が出来たんです。(*1)
とかいって。
阿良々木は、「彼女は戦場ヶ原で、好きなのは羽川で、かわいがっているのは神原で、結婚したいのは八九寺」って感じの男なのでクソですよねー。彼女が戦場ヶ原だから許されている所業でしょう。
西尾維新の作品の主人公は大体こうだ。
シリーズの主人公話が出たところで、《戯言シリーズ》のヒロイン、玖渚友と戦場ヶ原は似ているという話もしようかな。
ふたりとも、「自分のことを一番好きでいてくれるなら、フラフラしていてもいいわよ。その代わり私が一番じゃなくなったら殺すね(満面の笑み)」ってスタンス。玖渚はたぶん、いーちゃん殺さず世界を壊すけど。対する戦場ヶ原は、阿良々木を殺したあと、ちゃんと相手の女も送ってくれるらしいですけど。ほーんと、ふたりとも良く出来た、優しい彼女ですよね! あれ、冷静に考えるとなんなの、西尾維新が考えるいい女ってこんななの!?
*1 でも。
最終話の副音声で羽川がやりたい放題やっていたのは、脚本の西尾維新先生の優しさかな。